■ミドルフェイズ


●シーン4 『傷痕』 シーンプレイヤー:荒神双真  登場難易度:10

○三年前(双真の回想)


 ――――それは、荒神双真が初めて経験した実戦だった。
 中学生当時、双真の友人だった杵築当摩の家を、凶暴な人喰い狒狒が襲ったのだ。
 双真が駆けつけた時には、既に当摩の両親は殺されていた。
 母親は両腕をもがれ、家族を護ろうと立ちはだかった父親は頭蓋を噛み砕かれて絶命していた。
 両親の血で全身を赤く染めた当摩は、立ち上がって逃げることさえ思いつかないように…ただ呆然とその光景を見ていた。


双真:「…間に合わなかった…か。…当摩…すまねぇ…」
GM:狒狒は、動けない当摩を見下ろして…血塗れの口をにいっ、と開き手を伸ばす…。
双真:「…手前ェ…!」両手の修羅王、夜叉王を握りなおし、狒狒に飛び掛る。
GM:その声に狒狒は振り返り、威嚇の声を上げて迎え撃つ! …まぁ、ここは回想なので演出で(笑)。
双真:「おおおらぁっ!」迎撃をかわさずに腹を貫かれたまま、狂ったように殴りまくる。
GM:狒狒は双真の腕に噛みつき肉を食い千切る…が、双真は構わずに木刀を叩きつけた。
双真:自分の血と狒狒の返り血で、全身が真紅に染まる。殴り続けるうち、双真の顔も次第にひきつり、歪んだ笑みを浮かべて殴り続ける。
GM:その間のことを、双真はよく覚えていない。気がつくと、狒狒はボロボロの肉と毛の塊になって、足下に転がっていた。
双真:「ハァ、ハァ、ハァ…。お、終った…のか…?」
GM:そこら一面、狒狒と双真自身の血で赤く濡れている。へたり込んだまま、当摩は呆然と…その一部始終を見ていた。
双真:「…もう大丈夫だ。親父さんたちは…その、残念だったが…一旦ここから離れようぜ」
GM:双真が近寄ると、彼はビクリと震えて竦み上がる。「く…来るな来るな来るなぁ! こ、の…
バケモノぉぉぉぉっ!!?
双真:「…え…?」 呆然と立ち尽くす。
GM:当摩は、明らかに狒狒ではなく傷ついた双真を見て…そう叫んだのだった。
双真:「…俺が…化物? …俺が…」

 しばらく経って、当摩は精神病院に入れられた…と後に聞かされた。
 双真自身も、寺の命令を無視して勝手に実戦に出たことを咎められた。
 その後、すぐに転校させられ……それきり、かつての友人とは別れ別れになった。
 そして――――今に至る。


○双真の教室


GM/当摩:「――――荒神く〜ん、荒神双真くん? 俺の話、聞いてるのかなぁ?」
双真:「…? ああ悪い、ぶっちゃけて言うと聞いてなかった。…なに?」
GM/当摩:「あ、ひっでぇなぁ。人がせっかくプレゼントの相談をしているとゆーのに」むぅ、と唇をとがらす当摩。
双真:「プレゼントだぁ!? なんの話だ、そりゃ」
GM/当摩:「え? だから明日香さんの好みを聞いてるんだけど? 来月、誕生日なんだろ?」
双真:「………お前が何故明日香の誕生日プレゼントを?」
GM/明日香:「…なんか、いつの間にか誕生パーティを開いてくれるとかいう話になっちゃったみたいで」横で肩をすくめる明日香。
双真:「(…初手からドロップキックは大技すぎた…以後の突っ込みのネタが持続せんかもしれん…)」
GM/当摩:「まぁ、そういうこと。あ、もちろん荒神も招待すっから♪」双真は更に思い出す。…こいつは、こういうところがやたらと積極的だった、と。
亮司:来月のを今から……マメな男だ…。
勇司:うん。マメだね。
弥太郎:そろそろ登場判定しておこうかな。(ころころ)達成値14で登場。「荒神双真はいるか?」
双真:「おう、いないぜ。どうした?」
弥太郎:「では、今返事をしたのは誰だ?」
双真:「つっこみ疲れてな、ボケにまわりたくなったんだ。で、何の用?」
弥太郎:「…ふむ」回りを見回して「場所を変えよう。ここでは、ちと、な…」
双真:「愛の告白か…もてる男は辛いぜ。じゃ、屋上にでも行くか」
弥太郎:「…そういう冗談が好みか」
双真:「いや? しかし何だね、あんた突っ込みの才能あるよな。その切り返しの速度、尊敬できるよ。俺と組まない?」
弥太郎:「そういう趣味もない」
GM:その時、ガラガラと戸を開けて別の客が現れる。「あのー、明日香先輩いますか〜?」ひょっこりと顔を出したのはキミたちの後輩に当たる、日向晶だ
(*GMの持ちキャラ。リプレイ第1話参照)。「…あれ? 弥太郎先輩だ」
弥太郎:「おう、晶か。二年の教室にいるとは、珍しい」
GM/晶:「えへへ、水泳部の部費の件でちょっと相談がありましてー」
双真:「あれ、晶か。…明日香に用事?」
GM/晶:「うん。…どうしたの、双真クン。なんか、顔色悪いよ?」
双真:「いや、弥太郎から愛の告白を受けてな…というのは冗談だが、ちょっとね。昔の…その、知り合い…に似た奴が、転校してきてさ」
勇司:(すかさずダイスを振る)登場判定は13で成功と。
双真:「それが明日香にちょっかいを…い、いや、俺がどうこう言うことでもねーけどよ」
GM/晶:「ふ〜ん…」一同の顔を見回して。
勇司:「ふむ、弥太郎は稚児趣味と」メモメモ(笑)。
GM/当摩:「うんうん、この学校は何気にレベルが高くて俺は嬉しい…(感涙)」双真の後ろで涙する当摩。
弥太郎:「…おかしな噂が流布した場合、貴様の仕業と判断する」勇司を睨んで。
GM:ていうか、勇司は何処から見てるの?(笑)
勇司:定位置の窓から見える木にぶら下がって。もちろん制服で蝙蝠状態だ。
双真:「まぁ、噂が立ったら“ゲイ人”として俺と組んでやっていきゃいいさ」
弥太郎:「断固断る」
勇司:「双真はバイセクシャルか。ふむふむ」メモメモ。
GM/明日香:「その場合、あたしは他人のフリしてもいいかな?」横からツッコミ。
弥太郎:「…と、話を戻すが、少しばかり真面目な話だ。こっち側の、な」
GM/明日香:「まぁ、あたしは晶の面倒見てくるわ。双真も大事な話があるんじゃないの?」
双真:「冷たいねぇ…世間の風が辛いよ。…と、まぁそれはいいや。話あるんだったな。それじゃ、ちょっと俺たちは屋上行ってくるわ」
GM/晶:「うん、弥太郎先輩に双真クン、行ってらっしゃーい」手を振って見送り(笑)。
弥太郎:「うむ」残った人間に会釈する。「では、またな」
GM:というわけで、シーンプレイヤーの双真と同行しない人はここで退場(笑)。
勇司:ああ、同行させてくれ。それが本題だ。


○屋上にて

双真:「…で、こっち側の話っていうと?」
弥太郎:「昨日の夜、お前はどこで何をしていた?」
双真:「昨日の夜? …メシ食って宿題をスルーしてテレビ見てエロ本読んで風呂入って寝た…けど?」
弥太郎:「その言葉に、相違ないな?」
双真:「なんだよ、いきなり。…ああ、嘘なんてついてないぜ」
弥太郎:「…ふむ…ならば、あれは別人だったわけか…」
勇司:「なんだ、弥太郎。変なものでも見たのか?」柵を乗り越えて屋上に上がって来る。
弥太郎:「うむ? 珍しい闖入者だな。復学したのか?」
勇司:「ちと夜の見回りしてる。お前さんにニ、三質問したい事があったんで、古巣にお邪魔したんだけどよ」
双真:「別人? 何のこっちゃ。俺の影武者でも出たのか?」
弥太郎:「うむ。昨晩の話だが…双真に似た男が、俺の追っていた魔物を始末したのだが…」
勇司:「ふぅん、始末するだけならいいだろ? 害なさそうだし。ああ、そうだ、弥太郎。最近さ、霊刀を使う魔狩人の新顔って見たか?」
弥太郎:「そやつが双真と同じ姿に、二刀使い。特徴が全く同じだった。その時の魔物の倒し方が惨を極めていたのでな…少しばかり、心配になって様子を見に来た」
双真:「ふぅん…それで勇司のおっさんは霊刀使いの魔狩人ね。…なにかね。遂に俺の時代が来たのかね?」
勇司:「…双真、正直に言え。明日香ちゃんとの仲がうまくいかなくて、むしゃくしゃして魔に八つ当たったってんなら正直に言え、男なら恥ずかしくない事だから」諭すように。
双真:「明日香との仲は人に心配される事じゃないし、むしゃくしゃして魔に当たる余裕も正直言うと俺にはない! …だが当摩…あの転校生には、俺が当り散らしたいと思っているのは事実だが」
勇司:「さよけ。むぅ、死霊課も厄介な依頼よこすよなぁ」がしがしと頭を掻く。
弥太郎:「双真。あまり、面白い話ではないぞ。少なくとも、あの者の剣には鬼が宿っていた。そういう類のモノは、間違いなく“堕ちる”」
勇司:「横取りされんなよ。お前と明日香のらぶらぶっぷりを古宵に話すと喜ぶんだから、そのネタが無くなるのは惜しい。それと弥太郎。よければ後で詳しい話頼む。俺の件にも引っかかりそうだから」
弥太郎:「…うむ。こちらも今の話は少し気になる。俺も調べておこう」
双真:「弥太郎の話はわかった。だが勇司の話は知らん、聞かん。…しかし…見事に三人が三人とも厄介事抱えているわけか…」
勇司:「まぁ、厄介ごとが飯の種の人種だからなぁ。ていうか、お前は日常の厄介ごとだろ。ラベルが違うぞ、ベルが。あと、おっさん言うな。俺はまだ22だ、22なんだからオヤヂではない。いいかオヤヂじゃないからな!」
双真:「高校生にしてみりゃ、22はおっさんだ。…だがまぁ、あの転校生、俺の昔の知り合いかもしれないんだよな。…それが本当なら、ここであんな風に笑っているはずねぇのに…」
弥太郎:「…何か、気になるところがあるのか」
勇司:「ほぉ? まぁ深くは聞かない。ただ催眠療法で記憶を封じる事もたまにあるからな…深く考えるなや。若造」
弥太郎:「…まあ、こちらも聞かぬことにしよう。ただ、常葉をあまり心配させんようにな」
勇司:「困ったら、明日香ちゃんとのらぶらぶのネタで助けてやっからよ。若者らしく日常の事で悩んだり笑ったりしてろや」
双真:「…俺のさ、ダチだったんだよ。でも、魔物絡みで俺がしくじって…『化け物』って、呼ばせちまった…のさ」 屋上から去り際に言い残す。
弥太郎:「…化け物、か」こちらも呟くように。
GM:そして、三人は一旦別れた。シーンを切ります。

▼絆/エゴの変化
双真:勇司に絆を取得。関係は連帯感。
弥太郎:双真に絆を取得。関係は連帯感。
勇司:弥太郎に絆を取得。関係は信頼。



●シーン5 『無垢なるもの』 シーンプレイヤー:西藤亮司  登場難易度:10

○西池袋公園(昼)


GM:件の霊刀を使ったと思われる魔物殺害事件は、この公園で起きました。キミは取りあえず現場から調査に当たったということで。勇司はどうやら、別口の調査に行ったようです(笑)。
亮司:「…まあ、昼来ても何かあるわきゃーねーわな」見回して呟く。
GM:視界内では子供たちが数人遊んでいますが…。そのうちの一人が転んで、派手に泣き出しました。
亮司:「特に何もねーわな…ん? …まあ、あの年の餓鬼は転ぶくらいが丁度良い」頷き見てる。
GM/少女:「もぉー、すぐ泣くんだから! …しょうがないなぁ、そーたは」転んだ男の子を、同年代くらいの女の子が見ています。ちなみに5〜6歳くらいですね。男の子が自力で立ち上がるのを待ってるようですが…。
勇司:ロリー! ロリがいたぁぁぁ!!(興奮) くそ、出るシーン間違えた!
弥太郎:(笑)。
亮司:ロリーに反応するな(笑)。
勇司:仕方ないだろ。俺、ロリコンなんだから。それともなんだ? ショタに反応しろというのか!?(←誰もそんなこと言ってません)
GM:女の子はじっと待っていますが…男の子はわんわん泣いて立ち上がろうとしません。しびれを切らしたらしく、女の子はハァ、と溜息をついて男の子に手を貸します。
亮司:「……今時の餓鬼はダメだなぁ…」と呟きながら近づく。
GM/少女:「まったく、もぅ。本当にしょーがないなぁ」助け起こしました。
亮司:「ぉ、オジサンお呼びじゃねーか」娘が先に助け起こしたので立ち止まり呟く。
GM/少女:「もー、転んじゃダメだよ? 今度転んでも助けないから!」膨れっ面でたしなめる女の子。…姉弟なのかもしれません。
亮司:「平和だねぃ…やっぱなんもねーか…」ネコの背を撫でつつ呟く。
GM:じゃあ、勢いよく振り返って走り出した女の子は…真正面からキミにぶつかりました。
亮司:「おっと…気を付けろよ嬢ちゃん」少女を受け止め後ろで少年が転ぶ(笑)
GM:後ろから追突して、また転ぶ男の子。…再び公園に響く泣き声(笑)。「……あーぁ」女の子も振り返って溜息ついてます(笑)。
亮司:「ったく…男がビービーと…おい、ボウズ」少年にめんどくさそうな目を向ける。
GM/少女:「あ、ごめんなさい…」
GM/少年:「……?」顔だけ上げて亮司を見ます。
亮司:「自分で立て、その程度でビービー泣いて姉の手煩わせてどーするよ」
GM/少年:「う…だって…」また目尻に浮かぶ涙。
亮司:「泣くなよなぁ…ったく…」助け起こした。
GM/少女:「…ありがと、おじさん。そーたも、ちゃんとお礼言って」
亮司:「次からは自分で立つ努力をしろよ? 次は見捨てるぞ?」心底めんどくさそうに。
GM/少年:「…うん。ごめん…なさい。あ、あの…」おずおずと亮司を見上げて。
亮司:「何だ?」タバコ取り出して咥えたところ。
GM/少年:「…あり、がとう…」消え入りそうな声で呟いた。
亮司:「礼を言う暇があったら、立ち上がる努力をしろ」タバコに火を付けつつ。
GM:…ところで、この二人の親らしい人の姿が見えないことに亮司は気づきます。
亮司:「ん?おい、ガキども。親は何処だ?」辺りを見回す。
GM/少女:「いないよ?」あっさり応える。
亮司:「なるほど、だったら尚更だな。ボウズ」頷く。
勇司:なにぃ、ロリショタが敵だと!?
亮司:…何故?(笑)
弥太郎:それだと、確かに後味は悪い(笑)。
(*当時のセッション告知に『後味悪い結末になる可能性大』と書いてあった)
勇司:いや、『パパとママがいない』、『敵は二刀流』、『人格のある霊刀』と条件が揃えば。
GM/少女:「…オバケにね、殺されたんだって。父様が言ってた」
亮司:「オバケ? オジサンその系統の話苦手だぞ?」おどける。「で、どんなオバケなんだ?」
GM:彼女が答えようとした時、服の端をクイクイと引いて弟が囁く。「ねぇちゃ…にぃちゃ、むかえにいかないと…」それを聞いて、彼女は申し訳なさそうに顔を上げた。「…そっか。ごめんね、おじさん。あたしたち、行かなきゃ」
亮司:「ん、じゃあな」
GM/姉弟:「うん、じゃーね!」「…さよなら…」
弥太郎:兄ちゃん…これで三人。使い手も入れれば、勇司の予想が当たりっぽいですな。
亮司:「ん、ああそうだ。ガキども、名前は?」
GM/少女:「あたし、あかね。こっちは弟の、そーた」二人は手を振って去っていきます。
亮司:「…本当に名前だけ言って行きやがった…まあ、関係あるとも限らんか」肩を竦めて。「ここには何も無さそうだな…次行くか…」踵を返して公園の外へ。
GM:では、次のシーンへ。

▼絆/エゴの変化
亮司:姉弟にエゴを取得。関係は探求。



●シーン6 『きょうだい』 シーンプレイヤー:荒神双真  登場難易度:7

○放課後の校庭


GM/当摩:「よぉ、荒神。一緒に帰らないか? …もちろん、明日香さんも」という当摩に(何故か)付き合って、君たち三人一緒に帰ることになりました。
双真:「…お前ね、あいつは俺の……いいや。おーい明日香、帰るべー」
GM/明日香:「うん、今行くー!」
勇司:(ころころ)達成値12。
GM:…そして、勇司も出てくると(笑)。
勇司:「……」某姉のごとく、そしてストーカーのように電信柱の影に隠れながら尾行。「こう、恋の動乱は見逃せないねぇ」制服から普段着の都市迷彩アーミールックに着替え済み。ちっ、本当なら
明日香の女装をして「は〜い、ダ〜リンv」とかやろうとしたんだが間に合わなかった。
亮司:つ……次の機会があるさっ(笑)。
GM:で、歩いていくとですね。校門の所に小さい人影が二つ。「…あ、とーま兄ちゃん!」「…にぃちゃ…」幼い子供が駆け寄ってきました。当摩はしゃがんで子供たちの頭を撫でます。「お前たち…わざわざ迎えに来てくれたのか?」
双真:「ん? この子たち、お前の兄弟?」
GM/当摩:「うん? あぁ、そうだよ。俺の可愛い可愛い弟妹だ」笑顔で答える。「…手は出すなよ?」真顔で。
勇司:「…(ちっ、釘刺された)」
双真:「出さねーよ…つかお前、俺を何だと思ってたんだ?」
勇司:「バイセクシャルな芸人」明日香の声色を真似て。
GM/当摩:「うん? バイでロリショタの気があるクラスメイト…と、勇司と名乗る変質者が言ってた(笑)」
勇司:情報源をあっさりばらすな〜!!」電信柱の影から出てきて。
双真:「(そうかぁ…あのおっさんかぁ…)つか信じるなよ。いいかい少年たち、間違っても兄さんのようなダメな大人にはなるなよ?」
GM/当摩:「あ。ほれ、あの人だ」指さす(笑)。
勇司:ささっと隠れる。
双真:石拾って投げとく(笑)。
勇司:じゃあその石を受け取ってお手玉(笑)。「流石に子供のいる前で流血しながら倒れる芸は刺激が強すぎるからな」
GM:…ところで。双真の記憶によれば、当摩に弟妹はいなかったはずです。
双真:「(ん…あれ? こいつ、一人っ子じゃなかったっけ…?)」
勇司:あ、GMに質問。俺が追ってる斬殺事件って、一般的に流れてる情報?
GM:『魔物の殺害事件』なので、まだ大っぴらにはなっていません。死霊課絡みの事件は、基本的に秘密捜査です。
勇司:了解。
GM:では、シーンに戻します。
双真:「…なぁ。お前、弟妹なんていたっけ?」
GM/当摩:「…何で、そんなこと聞くんだ?」きょとん、と双真の目を見返します。
双真:「…いや。なんつーか…意外だったから…かな?」
GM/当摩:「意外かぁ? 俺、自分で言うのも何だけど、いい兄貴だと思うぞ?」後半は冗談めかして言います。
亮司:登場判定しておこう…(ころころ)8で成功。
双真:「そうか。なら後輩男子からアニキと呼ばれる日も近いな」
GM/当摩:「そんなわけで、俺子供も大好きです。お得ですよー、明日香さん!」本命へのアピールも忘れない(笑)。
勇司:「最近は物騒な事多いからな。こ〜んなかわいい子なんだ、いい兄貴なら切り裂き魔に襲われないように守ってやれよ?」
GM/当摩:「は、はぁ……なぁ荒神、この変な兄ちゃん、友達か何か?」
勇司:「あ〜休学中の、同じ高校の1年生だぞ。俺は」(←『辞めた』と言ってたような…?)
双真:「…いや…お前の情報源だろ? 少なくとも知人ではあるが、お前よりは親しくない。多分」
GM/当摩:「いや、俺も今日の昼休みに声かけられただけだし」ぶんぶんと首を振って否定。
勇司:「うわ、まるで汚物のごとくの擦り付け合い。ひでぇなぁ。おい…正当な評価だけど」
GM:で、妹が当摩の制服を引っ張って「とーま兄ちゃん、帰ろ」といいます。
双真:「しかしまぁ、実際物騒だしな。今この子ら、二人だけで来たろ? 子供だけで歩いてたら危ないぜ」
GM/当摩:「そうかな? …そうかもな。じゃ、兄ちゃん姉ちゃんと一緒に帰ろうか?」弟妹に微笑みかける。「そんなわけで明日香さん、行きましょう
GM/明日香:「あー…えぇと」戸惑って双真を見る(笑)。
双真:「アホか。俺も送るわい。おら、みんなで行くぞ」
GM:で、亮司はその様子を見ているの?(笑)
亮司:いや、出ないで良いかなと思い直しまして(笑)。
GM:では、通りがかっただけで退場ということに(笑)。勇司は何処までついてくる?
勇司:じゃぁ勇司はここで別れて、ぽそりと一言。「容疑者一人と」
GM:…容疑者って…根拠は?
勇司:『魔に関連してる』、『この時期に転校してきた』、『双真の顔を知っている』…と。嫌疑濃厚ってわけじゃないけど、取っ掛かりの一つにはなる。
GM:まぁね。双真も同等に疑わしい気がするけど(笑)。
勇司:無論疑ってるよ、最初から(きっぱり)。
GM:あ、やっぱり?(笑)
勇司:だから学校に顔を出したんだって(爆)。んで、知識へのエゴを絆に書き換え…(ころころ)成功。「いかん、いかん。知りたがりばっかじゃいけないな。制御しないと」関係は制御で。
GM:では勇司はここで退場と。


○商店街

GM:当摩が夕食の買い物をするというので、しばし付き合うことになりました。そして時間が経つ内に、明日香が子供二人の面倒を見る感じになります。「いやぁ、いいねぇ。なんか、母親って感じだなぁ」満面の笑顔でそれを眺める当摩。
双真:「まぁ、意外と面倒見はいいね。…それよか、メシはお前が作ってんの?」
GM/当摩:「あぁ。…言わなかったっけか? 俺たち、三人暮らしだから。姉弟三人、肩寄せ合って暮らしてるわけだ。大変なんだよ、色々と」溜息つきつつ。
双真:「ああ、そうだよな…ま、家族がいるってのは、何より…だよな…」
GM/当摩:「…だから、夕食作りに来てくれる優しい彼女が欲しいなぁ〜というわけでして。はい」ぬけぬけと言って双真を見る。「ところで……明日香さんの話をする度にお前の目つきがキツくなるのは俺の気のせい?」
双真:「…ま、分かるか、そりゃ。……まぁ、ね。気のせいじゃないです」
GM/当摩:「ふむ。…恋敵ってわけか。こりゃまた厳しいねぇ」ニカッと邪気のない笑顔を浮かべる。
双真:「そういうこったな」 こちらも邪気のない笑顔を浮かべたいが、過去を思い出してどこか陰のある笑いしか出ない。「…なぁ。もう一回訊くけどさ。お前、俺と初めて会ったんだよな? 三年前に…中学校のころ、俺に会ったり…してないんだよな?」
GM/当摩:「……実はここだけの話だけども。俺、記憶喪失らしくてさ」真面目な顔で答える。
双真:「記憶喪失?」
GM/当摩:「…あいつらと会う前のこと、あまりよく覚えてないんだ」弟妹の方を見つめて呟く。「そんなんで弟妹なんて、おかしいと思うか?」
双真:「じゃあ、あの二人とは、どう知り合ったんだ?」
GM/当摩:「気がついたら、あいつらが俺の傍にいたんだ。心配そうな顔で…『兄ちゃん』ってな。…それからずっと、一緒にいる」
双真:「…いつ頃から?」
GM/当摩:「う〜ん……二、三ヶ月って辺りかな。…なぁ、おかしいか、やっぱり?」
双真:「俺は、お前と同じ立場に立ったわけじゃないからな。おかしいかどうかなんて、言えないさ。でも、あの二人はお前の弟と、妹なんだろ?」
GM/当摩:「…あぁ。大事な大事な俺の弟妹だ。あいつらがいるから…俺は、独りじゃない」
双真:「なら…人がおかしいおかしくないなんて言うのは、野暮な話だろ。お前らがそう思っているんなら、それが本当なんだろうよ」
GM/当摩:「…そうだな。ごめんな、変な話して。買い物も済んだし、行こうか」笑顔で。
双真:「ああ。じゃあ今日は、俺らも料理を手伝おう。…いいだろ?」
GM/当摩:「もちろんだ。こき使ってやるから覚悟しろよ?」ニッと笑って弟妹に声をかける。「茜、颯太ー。このお兄ちゃんとお姉ちゃんが夕飯一緒するってさー!」
双真:「ふ…寺でみっちり仕込まれた料理の腕、舐めてくれるな? つーことだ! 明日香、お前も付き合えよ!」
GM/明日香:「ふっふーん。こっちこそ料理の腕の冴えを見せてあげましょう!」自信たっぷりに答える(笑)。


GM:みんなでアパートに向かう途中、当摩が後ろから、ふと声をかける。「……双真」
双真:「なんだ?」
GM/当摩:「さっきの話だけど、な。……お前に話して、良かったよ」ぼそりと小さな声で。「それだけだ。んじゃ、行こうか!」肩を叩いて双真を追い越す。
双真:「…そうか。ま、話したければいつでもいいぜ。…ただし俺に惚れるなよ。いかに俺が人類代表のエクストリームハンサムといえど、守備範囲の問題もあるからな」言って当摩の背中を追いかける。
GM:しかし双真の台詞を無視して、明日香の隣をゲットする当摩であった。という所でシーンを切りましょうか(笑)。

▼絆/エゴの変化
双真:当摩へのエゴを絆に変更。関係は友情。弟妹への絆を取得。関係は好奇心。
勇司:知識へのエゴを絆に変更。関係は制御。



●シーン7 『夜を駆ける』 シーンプレイヤー:山本弥太郎  登場難易度:7

○西池袋公園(夜)


GM:弥太郎は、再びあの魔剣士の手がかりを求めて街中を駆けています。情報収集判定もこのシーンで出来ますよ。
弥太郎:はい。では、双刀の魔猟人を追います。
勇司:んじゃ、(ころころ)9で登場。霊刀について調べます。
亮司:(ころころ)7で登場。あの兄弟について調べます。
GM:では、取りあえず弥太郎から順に解決しましょうか。『魔剣士』については〈情報:噂話/警察/魔物〉で判定可能です。どの技能で判定しても、得られる情報は同じ。
弥太郎:(ころころ)〈情報:噂話〉で達成値14。

 達成値8:二刀流を振るい、凶暴な魔物を退治している剣士。活動は夜のみで、神出鬼没。
 達成値10:邪悪な魔物だけでなく、偶然居合わせた他の魔物も斬り殺したらしい。
 達成値12:目撃者の話によると、剣士の正体は荒神双真のようだ。


GM:まだ、一番難易度の高い情報が残ってますね。
弥太郎:ううむ…一番上が重要だなあ。
GM:登場した他の人は、弥太郎に合流すれば同じ判定が出来ます。
勇司:ふむ、後でおいらがアーツ使って調べるわ。
亮司:合流しようにも…ロールプレイしようが…(困)。
弥太郎:いや、俺が亮司に絆持っているから、亮司とは知り合い。
GM:(何のために登場判定したんだろ、この人たちは)…ここ、弥太郎のシーンなので。彼に絡まず行動するのは基本的に無理なのですが(笑)。
亮司:絆は持ってますが…弥太郎がどういう状況かが判らないから。
GM:魔剣士の情報を求めて、色々聞き回ってる状況ですが。
弥太郎:犯行現場にいるわけだから、もう一回現場に戻ってきた時に偶然出会った、でいいのでは? そうすれば、お互いの情報交換にはなると思いますが。
亮司:それじゃ、「ん? …よー、そこのあんた」弥太郎の姿を認め声を掛ける。
勇司:こっちは霊刀の情報を調べた上で、魔剣士の剣と合わさるかどうかを調べるために現れたので。情報を得てから弥太郎と合流。
GM:それなら勇司は、『既に調べた』って事で合流できます。判定は出てからどうぞ。
弥太郎:「ん? 珍しいところで会いますな、西藤殿。かような場所で、どうしました?」
亮司:「相変わらずな口調だなぁ、おぃ」
弥太郎:「生まれてよりこういう風に育ちましたゆえ、こちらに来てもなかなか抜けません」
亮司:「ふーん。いや、最近魔物を襲う通り魔が出てるっぽくてな。仕事だ仕事」タバコふかし。
弥太郎:「ふむ。奇遇ですな。実は俺も、それを調べているところで」
亮司:「ほー…いや、実際調べてんのは霊刀のことなんだがな。何でもそれ持つと、魔物専門の通り魔になるかもしんねーんだと」
弥太郎:「もしや、こちらの一件と関わりあるやも知れません。差し支えなければ、情報交換と行きませんか」
GM:『霊刀』については〈情報:魔物/警察〉で調査できます。
勇司:〈情報:魔物〉で(ころころ…と振って出目は1と2)ぐぁ、低ぅ!?(←だから合流してから判定しろと言ってるのに)
亮司:「かまわねぇぞ、正直手詰まりだったからな」では情報交換〜。
弥太郎:「ふむ…霊刀ですか。こちらも昨晩…」と、こちらの事情も説明。
亮司:魔剣士について情報判定しても良いですか?
GM:いいですよ。
亮司:魔剣士について〈情報:警察〉で(ころころ)12。…ダァメだ(笑)。
弥太郎:では、こちらも霊刀について振らせてください。〈情報:魔物〉で(ころころ)…達成値15。
亮司:おぉー。
GM:高い。『霊刀』についてはそれで全部出ますね。
弥太郎:久しぶりに、ダイス目がいい…(笑)。

 達成値8:家族を魔物に殺された刀鍛冶によって鍛えられた、一対の霊刀。銘は『紅麗・蒼嵐』
 達成値10:使い手の『魔物に対する憎悪』を引き出して、それを力の源とする。
 達成値12:闘う時は『使い手が最も怖れ憎む者の姿』を写し、同じ姿に変化させる。
 達成値15:この刀は、魔物に殺された鍛冶屋の子供(双子の姉弟)の遺体を鋼に混ぜて造られた。


GM:以上です。
弥太郎:「…つまり、双真を憎み恐れるものが魔剣を使い、魔物を襲っているわけか…」と、鴉からの情報を聞きつつ。
勇司:じゃぁおいらも魔剣士について調べよう。《偉大なる叡智》
(*マジシャンのアーツ。あらゆる情報判定を〈知識〉で代用できる)だ。「確か古今東西の魔剣士のデーターは…」(ころころ)達成値20だ!
亮司:まぁたぶっ飛んだ数値を(笑)。
勇司:知識特化ですから(笑)。

 達成値15:外見は荒神双真そっくりだが、使っているのは違う刀だ。別人ではないか?

GM:という情報が追加で入ります。
亮司:あぁ、この情報が入らないと双真を殴りに行ってたわけね(笑)。
勇司:ちっ(舌打ち)。
GM:勇司、いい加減合流しようよ。他の人が困るじゃない(笑)。
勇司:「ああ、その線で当たりだぜ」やっと出てくる。
弥太郎:「そちらも、何か掴んだ顔だな」
勇司:「今掴んだ情報というか、分析結果だけどな」と要約して伝える。「残念ながら双真はハズレだな。…くっ、あの果報者を殴るチャンス、自分で潰すのは惜しいが仕方ないか」
弥太郎:「ふむ…では、今回の一件、双真の過去に関わるものが犯人、となるわけか」
勇司:「そうっぽいな」
亮司:では、例の兄弟について調べて良いですか? 正確には姉弟かな。
GM:姉弟に関しては、『杵築当摩の妹弟である』という以上の情報はありません、残念ながら。
亮司:ラジャ。「随分な言い草だが…誰だ? 双真って?」まだ会ってないし(笑)。
勇司:「ああ」説明する。
弥太郎:「…ああ。俺の学校の同級です」
亮司:「ほー…んじゃあ双真とやらの身辺調査だな」真面目な顔で。
勇司:「ああ、そうだな。つってもあいつ幼い頃は寺にいたから、漁る身元もそうそうないけどな。しかし…一対の霊刀に、双子の姉弟ね…ふむ」あ〜、当摩について調べられます?
GM:出来ますよ。『杵築当摩』に関しては〈情報:噂話/警察〉で。
勇司:誰か先にダイス振って。出目が低かったら人間性使うから(笑)。
亮司:杵築当摩を知らない(笑)。
弥太郎:じゃあ、俺から(ころころ…出目は1と2)低っ!
勇司:《偉大なる叡智》(ころころと振って、またも出目は1と2)低!?
弥太郎:(笑)。
亮司:まあ、元の基準値が高いし。
GM:〈知識〉にアーツのボーナス足して、達成値18か。…人間性、使って良かったね(笑)。
勇司:というわけで、今回は勇司の戦力当てにするなよ。サポートにならんと人間性がまた死ぬ(笑)。

 達成値8:三年ほど前、家族を強盗に殺された。今は幼い弟妹たちとアパート暮らし。
 達成値10:実は、彼の家族を殺したのは強盗ではなく魔物だったらしい。
 達成値12:その事件で魔物を斃し、当摩を救ったのは荒神双真である。
 達成値15:当摩は精神に異常を来し入院したはずだが、その痕跡が消されているようだ。


GM:杵築当摩に関する情報は、以上です。
勇司:「ということだな」ノートPCを開いて流し読みしていたデーターを纏めつつ。
弥太郎:「…経歴としては、当たりに近い気がするが…」
勇司:「まぁ三年ほど前の事件も調べてみるわ」というわけで調べられます?
亮司:「んで、容疑者がその当摩とかゆうガキなわけだな? …そーいやあのガキどもの兄も杵築当摩とか言ったか?」
勇司:「なんだ、あの子供たちに会ったのか」かたかたとキーを叩きつつ。
亮司:「おぅ、公園に居てな。オジサン仲良くなっちゃったよ」意味もなく足元のポチ撫でつつ。
GM:三年前の事件については、これ以上の情報はないです。この事件とは直接関係ないのが判るだけ。双真に聞いた方が詳しく判るくらい(笑)。
勇司:「ふぅむ」顎を撫でて。
弥太郎:「その当摩というのが犯人なら、また動きがあるでしょう。その当摩を張っていれば、あるいは尻尾を出すかもしれません」
勇司:「そうだな。弥太郎、悪いが頼まれてくれないか? 俺は背後で糸引いてるやつを探してみるわ」ノートパソコンを閉じる。「病院の痕跡まで消してるんだ、偶然にしては出来すぎてる。刀の力でも、ちょっと信じられんしな」
弥太郎:「うむ。では、こちらはその用に動こう。…なるべくなら、双真にはやらせたくない展開になりそうだしな」屋上での一件を思い出して。
亮司:「若いのが優秀だと年寄りが楽できていーねぇ」ベンチに座って缶コーヒー飲みつつ。
勇司:「まぁ、後味悪いのは趣味じゃないけど…俺としては霊刀の仕組みを見たいしな」わくわくと。
GM:では、いったん弥太郎と二人は別れますか?
勇司:「ああ、そうだ。亮司、そのガキの名前分かるか?」
亮司:「ん? あー…『あかね』と『そーた』って言ってたっけかな?」
勇司:「考えたくないが…その子らが霊刀のモノホンかもしれないな」苦笑して。「紅麗と蒼嵐に茜と颯太…名前と特徴が一致してる」
弥太郎:「可能性は、ある。人の魂を使った刀ならば、あるいは」
亮司:「ん、まあ無い事じゃぁねーだろ。双真とやらには早めに教えといた方が良いぞ」
勇司:「あ〜、俺が教えてもいいけど信用しそうにないしな。弥太郎、憎まれ役…やってくれるか?」
亮司:「後でゴチャゴチャ言われても困るしな、最悪は常に考えるに越したこたねーさ」
弥太郎:「…いいだろう。誰かがやるなら、俺が適当か」
勇司:「すまんな」
GM:では、弥太郎は二人と別れて双真の所に向かうと。他の二人は退場で。
弥太郎:はい。


○裏通り

GM:弥太郎が双真の家に向かっていると……途中で微かに血の匂いを感じました。
弥太郎:「…」臭いの元を捜します。
GM:この付近に、アレナへ通じる異空間があったはずです。
弥太郎:では、そこに向かいアレナへと進入します。
GM:はい。そこには土蜘蛛の化身と思われる男たちが数名、双真にそっくりな魔剣士を取り囲んでいました。
弥太郎:「…いたか」
GM/魔剣士:「…新手か」現れた弥太郎に冷たい視線を向ける。それを隙と見て、周囲の土蜘蛛が一斉に飛びかかった…が。「――――取りあえず、死ね」蒼い暴風が襲いかかった土蜘蛛を巻き上げ、切り刻んだ。五体バラバラになって降り注ぐ、土蜘蛛たちの死骸。
弥太郎:「荒神双真…ではないな。杵築当摩か?」細切れになった土蜘蛛を踏み越えて近づく。
GM/魔剣士:「化け物に、名乗る名前は持たない…」二刀を構える。
弥太郎:「…その化け物とて、人と同じく絆を結んで暮らしている」刀を抜いて。「無辜の者まで斬る、と聞く。貴様の方が、化け物であろう」
GM/魔剣士:「魔物なぞ、所詮人に仇なす存在に過ぎない。…貴様も、死ぬか?」じりり、と間合いを詰める。
弥太郎:「…もう一度聞く。杵築当摩に間違いないか?」こちらも間合いを詰めつつ。
GM/魔剣士:「先ほども言った。名乗る名はない…死ね!」《絶対先制》で斬りかかる! マイナーで《魔撃》、《練成の記憶》+《魂狩り》でクリティカル値10、《大小拵え》で2回判定…(ころころ)クリティカルです。
勇司:ありえねぇ!? ダブルクリティカルかよ!?
亮司:…ダブルじゃないけど…強いね。
弥太郎:回避判定(ころころ)…ダメか。
GM:(10個近いダイスを振るGM)…59点の〈闇〉ダメージです。
勇司:ぶっ、強!?
GM:憎悪の闇を帯びた漆黒の刃が、弥太郎の身体を捉える。
弥太郎:それは…いきなり魔獣化するなあ。
GM:魔獣化するの?
勇司:[かりそめの死
(*)]が無難でねぇ? 敵は死んだと認識するでしょ。
GM:うん。逆に起きてられると、本当に死ぬまで攻撃されます(笑)。
亮司:死んでおくのが良いかと…多分。
弥太郎:では、かりそめの死で。「が…はっ…! ぬかったか…」
GM/魔剣士:「他愛もない……余計な真似をしなければ、死なずに済んだものを」刀を収め、倒れた弥太郎には目もくれずに去っていきます。そして、しばらく経過してから弥太郎は息を吹き返す。
弥太郎:「…手も足も、出なかった…?」拳で地面を殴り、悔しげに呟く。「…不覚」
GM:では、この辺でシーンを切りましょうか。

*【かりそめの死】
 魔物のキャラがダメージを受けてFPを0にされた場合、[魔獣化]と[かりそめの死]のどちらになるかを選べます。
 魔獣化するとFPをある程度回復した上で戦闘続行できますが、その状態で再びFP0にされると本当に死にます
 かりそめの死を選んだ場合は戦闘不能になってしまいますが、とどめを刺されずに戦闘終了すればFP1で蘇生できるのです。
 よほど意地悪なGMでもない限りクライマックス前にとどめを刺したりはしないので、ここでは死んだフリが得策でしょう(笑)。


▼絆/エゴの変化
弥太郎:勇司に絆を取得。関係は信頼。
亮司:弟妹へのエゴを絆に変化。関係は好奇心。酒天に絆を取得。関係は感謝。
勇司:亮司に絆を取得。関係は有為。



●シーン8 『隠されしもの』 シーンプレイヤー:篠崎勇司  登場難易度:10

○精神病院(深夜)


GM:というわけで、勇司は当摩が入院していたはずの病院に来ました。…深夜ですが。
勇司:ぐぇ、深夜か。白衣を着てパソコンやカルテを漁りましょう。
GM:白衣…コスプレっぽい(笑)。
勇司:わかった、リクエストにお応えしてナースルックのコスプレにしようか?
GM:まぁ、探すなら…この場合、情報分析に近いから〈知識〉かな。
勇司:わ〜い。(ころころ)達成値21だ。唸る脳みそ! 「……」手馴れた手つきでカルテを漁り、パソコンにアクセスしてパスワードを解除して…と色々してる。
GM:えーとですね。杵築当摩は確かに3ヶ月ほど前まで、この病院にいました。当時のデータが残ってます。
勇司:「ほぉ…三ヶ月前か」データーをコピーしてと。
GM:ただ、職員の誰もがそのデータを『認識できていない』状態です。
勇司:「こりゃレジェンドか? それともデーモンが絡んでるのか?」そういう能力を持つ魔物を思い出す。
GM:一斉に、強烈な暗示か何かで記憶を上書き
(*)されたような感じですね。
勇司:《エンディング》
(*レジェンドのアーツ。シーン内にいるエキストラから、『自分に関する記憶』を忘れさせる)っぽいなぁ。「刀の能力ってわけじゃなさそうだしなぁ…」
GM:暗示の内容は…『杵築当摩は狂ってなどいない。故に、入院などしていない』です。
勇司:その頃の来客記録を探してみる。見舞いに来た人の記録など調べたりと。
GM:来客というか、近くで自動車事故が起きたらしく急患が運び込まれてますね。刑事さんが。これまたデータには残ってるけど、さっきの暗示効果に巻き込まれたのか職員には忘れ去られてます。
勇司:その刑事について調べる。で、霊刀を追ってた人の名前と照合。
GM:照合するなら、死霊課の刑事だと判ります。…ちなみに、死んでますね。
勇司:「ふむ」当時の持ち物を調べる。運び込まれた時の状況だね。
GM:長いトランクのようなケースを持ってたみたいですが、中身は残ってなかったようです。
勇司:「ビンゴだな」頭をがりがり掻いてデータをまとめてから、監視カメラとかに映った自分の記録を消した後で退場かな。
GM:はい。では、このシーンはここまでで。絆チェックはあります?
勇司:あ〜、霊刀に(ころころ)22で成功。絆/執着に。己の価値を果たそうとする霊刀に萌えと。
GM:萌えかい(笑)。
勇司:燃えでもいいよ(爆)。
GM:取得がないなら、次のシーンへ行きます。
勇司:は〜い。
GM:次は順番で言うと亮司なのですが。…実は、杵築家を見張っても特にイベントはないのです。飛ばしていい?(恐る恐る)
亮司:どぞ。そういえば、ちょっち質問が…イベント無かったって事は、杵築家からは誰も出入りしてないんで?
GM:うん。少なくとも、亮司が張り込んでいる時間帯には動きはありませんでした。
亮司:うむ…了解です。
GM:外から見てただけなんで、転移とかされてたら判りません(笑)。
亮司:ああ、そうか。転移なんていう探偵の能力を無視する技があったな(笑)。魔物キライダー……いや、大好きですが。転移(何)。
GM:すみませぬ(笑)。
亮司:いや、別に。意識に入れてなかったのが悪いので(笑)。
GM:では、登場しなかった弥太郎さんはFP回復を。
弥太郎:(ころころ)3回復。焼け石に水(笑)。
GM:本当に(笑)。

*『記憶を上書き〜』
 実はこれ、デーモンのHA《歪曲する真実》の効果です。GMが「強烈な暗示」と表現したのは、単に演出的なもの。
 突っ込んで質問されれば素直に答えるつもりでしたが…勇司が一人で納得してしまったため、わざわざ訂正しなかったGMです。
 …………意地悪でしょうかね?(笑)

▼絆/エゴの変化
勇司:霊刀へのエゴを絆に変化。関係は執着。



●シーン9 『癒しの言霊』 シーンプレイヤー:山本弥太郎  登場難易度7

○学校内(早朝)


GM:ボロボロになりつつも、翌朝学校に出てくる弥太郎さんのシーンです(笑)。
弥太郎:はい(笑)。
GM:廊下を歩いていると…突然、「弥太郎先輩、おっはよー♪」ばっしーんと背中を叩いて挨拶する晶(笑)。
弥太郎:「ぐ…ッ!(傷に響いた)」振り返って「…晶か」
GM/晶:「…? 先輩、どうしたの?」心配そうに覗き込む。
弥太郎:「ああ…大事ない」と言いつつも、いつものような自信はない。
GM/晶:「…って、あーっ! 怪我してるじゃないか!」
双真:登場します。(ころころ)12で成功。「あれ、どうしたんだ弥太郎? 怪我してんのか?」
弥太郎:「双真…」
GM/晶:「ととと、とにかく先輩、こっちに来て!」周囲を見回して、近くの理科室に押し込む。
弥太郎:「あ、ああ…」
GM:Buer-星の頭領-よ、先輩の傷を癒して…」銀色の半人半馬が召喚され、弥太郎に治癒魔法を使います。扉の隙間から光が漏れたりとか、窓にカーテンかかってなかったりするけど、晶は根がそそっかしいから気にしない(ぉ)。完治するまでかけるので、FP全快してください(爆)。
弥太郎:はい(笑)。「…ありがとう、晶」そして呟くように。「…俺は、弱いだろうか」
GM/晶:「…いったい、何があったの?」疲労の色を浮かべつつ、聞きます。
弥太郎:「…負けた。俺には、手も足も出ない相手がいた」
GM:ところで双真も、ここにいるんだよね?
双真:います。
GM/晶:「弥太郎先輩が負ける相手って…」弥太郎の剣技は知ってるので、かなり驚いてます。
双真:「…月並みな話なら、上には上がいるって事になるだろ。それに単純な実力の話なら、あんたは少なくとも俺より強いよ」
弥太郎:「…相手は、おそらく…杵築当摩だ」
GM/晶:「…きづき? どっかで聞いたような…?」
双真:「…は? 当摩? なんであいつが…」
弥太郎:「…双真。この際伝えておくが、あの者が、俺の会った、お前の偽者だろう」
双真:「お、おいおい。あんた冗談通じないかと思ってたけど…冗談言えたんだな。あいつが、当摩がそんな真似、するはずも出来るはずもねぇよ…」
弥太郎:「…三年前、お前はあの男の前で《力》を使わなんだか?」
双真:「…ああ。三年前、あいつの家族が魔物に襲われた時…死んじまったあいつの両親と、あいつの前で、俺は戦った…」
弥太郎:「勇司が霊刀を追っていると言っていたろう。あの刀は、持ち主を“最も恐怖するもの”に変える力がある。お前を最も恐怖する存在…お前ならば、見当がつかないか?」」
双真:「…! そ…れは…」暫く口ごもる。「…あいつが、当摩が最も恐怖するとしたら、そいつは……俺だ。血に狂い、力に酔った俺の姿だ…」
弥太郎:「…あいつが俺たちの追う魔剣士ならば、斬らねばならん…お前には、それだけは伝えておかなければならなかったのでな。…それだけではないか。俺は、もう一度、あいつとまみえねばならない……もう一度、俺自身を取り戻すために」
双真:「…まだ、決まったわけじゃねぇだろ。あいつは俺のダチだ。三年前も、今も。なら、確かめるのは、俺の仕事だ…」
弥太郎:「…確かめて、お前に斬れるか? 年来の友を斬るなど、生半ではないぞ」
双真:「………」応えず、無言で部屋を出る。
GM/晶:「先輩…双真クン…」心配そうに見送ります。
弥太郎:「…出来れば、お前にそんな真似はさせたくないんでな」呟く。
GM:と、ここで弥太郎は〈知覚〉判定をしてください。
弥太郎:(ころころ)出目が11で、合計12。低い〈知覚〉で頑張って見ました(笑)。
GM:ふむ。では…ほんの一瞬、窓の外から鋭い殺気を感じた。理科室の窓の向かいに見えるのは――――とある教室。
弥太郎:「…晶」
GM/晶:「…どうしたの? 先輩」
弥太郎:「無理をさせてすまなかった。この礼は、必ずする」そう言って、視線を向かいの教室へ。
GM/晶:「ううん、いいんだ。ボクに出来ることがあれば、何でも言ってよ」晶は無理に明るく笑って手を振った。そして弥太郎が向けた視線の先には、ホームルーム中の教室がある。変わった様子は…特に感じられない。
弥太郎:じゃあ、こちらも小さく笑って見せて「…感謝しても、し足りないな…お前には」言いおいて理科室を出て、視線の主を捜しに行きます。
GM:探しに行くと…何処も普通に授業をやっていました。杵築当摩もHRには出ていましたが…何故か、一時間目の終了と同時に校舎から姿を消しました。
弥太郎:では、当摩を捜しましょう。
勇司:む、すまん。ちょっと離席。腹に大物が来た。(そのままトイレに立つプレイヤー)
GM:あら。行ってらっしゃい(笑)。では弥太郎が当摩を探しに行ったところでシーンを切ります。

▼絆/エゴの変化
弥太郎:晶に絆を取得。関係は信頼。




●シーン10 『失楽園』 マスターシーン  PC登場不可

○教室内(前シーンと同時刻)


 ――――ふと、そちらに目を向けたのは単なる偶然。
 退屈な教師の話に欠伸を噛み殺しながら、『彼』はぼんやりと窓の外を見ていた。
 …その時だ。視界の端を不思議な光が掠めたのは。
 何気なく目をやった、向かいの特別教室。その窓の中に…見てしまった。
 銀色に光り輝く、異形の半人半馬を。

「――――…ッ!?!!」

 瞬間、信じていた『日常』に亀裂が走り、忌まわしい/
懐かしい記憶が溢れ出す。

「…あ…あ……ぁあ…ッ?!」

 退屈な/
穏やかな学校生活。
 口やかましかった/
けれど優しかった両親。
 友達と過ごした、騒々しいだけの日常/
それがこんなにも幸せな、掛け替えのないものだったなんて。

 ――――けれど、それは失われてしまった。
 三年前遭遇した…
『真実』によって。

「…そうだ……俺は…
バケモノを…ッ

 記憶の蓋は開いた。
 霊刀の『力』によって隔てられていた昼と
夜が混じり合い…彼は、理解する。

 あの
幸福な日々らくえんには――――もう還れない。



●シーン11 『放課後の剣士』 シーンプレイヤー:なし  登場難易度:20

○学校内(放課後)


「明日香先輩! 弥太郎先輩見なかった?」
「…晶も? あたしは双真を捜してるんだけど…なんか、思い詰めた顔で出てったから」

 その時、渡り廊下の反対側から双真が歩いて来た。

「…あれ、双真クンだ」
「双真、あんたいったい今まで何処に…」

 とことこと晶が無防備に近づき、明日香もその後からついて行く。


GM:そして――――ずぶり。「……え…?」晶は呆然と、腹から突き出した刃を見つめた。
弥太郎:[希望の星](*出自表で得る特徴の一つ。登場判定無しでシーンに出られる)発動! 《俊敏なる盾》で防ぎたいのですが。
GM:[希望の星]は許可します。但し、同エンゲージに出られたわけではないので、《俊敏なる盾》は無効とします。
弥太郎:ぬお?!
GM/明日香:「…きゃああああ!?」
弥太郎:「晶!」
亮司:あー、SAで出られます?
GM:SAで登場可能ですよ。
双真:こちらも、[SA:日常を守る]で登場を。
GM/晶:「…双真クン…? 弥太郎、先輩…?」そのままぐらりと倒れ込む。かりそめの死です。
双真:「晶ッ…!」
亮司:「ありゃ…遅かったみてーだな」同じくSAで登場。「そーいや、双真とやらの友人内には事情説明しておきゃ良かったな。失敗した」
弥太郎:「く…間に合わなかった…! すまん…」
GM:魔剣士は、そのまま明日香を捕まえて抱き寄せる。明日香が「きゃ…ッ?!」と小さく悲鳴をあげた。
双真:「…お前、当摩か?」
弥太郎:「…お前が、何者であろうと…このままでは、済まさん」
GM/魔剣士:「…どうだろうな。お前には…今の俺が、どう見える? ――――“双真”
双真:「お前の姿は…俺に見える。その姿は、三年前の俺だろう…当摩」
GM/魔剣士:「…こうして触れてみると、よく判るよ。…この娘も、“人間じゃない”んだろう?」
双真:「だとしたら、どうする。何が望みだ」
GM/魔剣士:「人でないものは、人の世界にいるべきじゃあない。そうじゃないか? 共にいても、ただ悲劇を撒き散らすばかりだ…」
双真:「お前の両親を襲った魔物のような奴も多い。だがそれが全てじゃない。あの日の俺のように、力に狂う魔物も多い。だがそれも、変えていけるはずだろう! 俺を恨むなら、他の奴まで巻き込むな!」
GM/魔剣士:「…そう思うなら、俺を止めてみろ。俺は……『あの場所』で待っている…」そう告げると、姿が消えていきます。PS《帰還門》を使用しました。
弥太郎:「…あの場所とやらに、心当たりはあるか」
双真:「恐らく…三年前の、あの場所だろう」
弥太郎:「…俺も、行くぞ。異論はないな?」
亮司:「ん、じゃあ勇司呼んでサッサと行こーぜ」ついて行く気満々(笑)。
双真:「ああ。決着をつけなきゃならない。あんたも退けない理由があるしな」
亮司:「っと、そうそう忘れる所だった…ハジメマシテ、よろしく双真クンとやら」手を差し出す。
GM:ではここで、全員に[SA:魔剣士を倒す]をあげます。絆チェックも、あればどうぞ。
弥太郎:「…晶は、俺を助けるために無理をしていた。…でなければ、こうも簡単には…。俺に出来ることは、このくらいしかない。許せ」SA受領します。
双真:「…勇司の知り合いか。なら、信用できそうだな」SA受領。「(…あいつ自身は信用できないが…)」
亮司:「ま、その女の子病院にでも連れてってサッサと行こーぜ」SAもらいます。
弥太郎:「ああ」
GM:では絆チェックが済んだら、夜叉丸さんが戻ってくるまで休憩とします。
勇司:(ひょっこり戻ってきた)あろあろ?
GM:…って、お帰りー(笑)。今の状況だけども…(かくかくしかじか)。
勇司:おぉぉぉ!(←テンションが上がった)
GM:取りあえず、「勇司のモチベーションが上がるかな〜?」と思って晶殺してみました(ぉ)。
勇司:もう。鰻上りですよ(笑)。
GM:殺した甲斐がありましたな、かりそめの死だけど(笑)。
亮司:何か上って上って竜になりそうな勢いですな(笑)。
勇司:さて、人間性ダイス二倍振り決定か。
亮司:全力決定かーい(笑)。
GM:…でも、今回の勇司、晶に絆取ってたっけか?
勇司:会ってない(爆)。
GM:だよねー。肝心のシーンでPLが消えてたから(笑)。
勇司:くそ、取りたかった。…取っていい?(爆)
GM:まぁ、いいでしょう。不可抗力だったし(笑)。
勇司:うう、ゲリピーめ(涙)。(ころころ)…絆チェック失敗。
GM:エゴかよ(笑)。
亮司:すみません…さりげなく面白いです(笑)。
勇司:わぉ、エゴだから全力決定だ(爆)。
GM:まぁ今のは取得だから、まだクライマックスで書き換えは可能だけどね。
勇司:仇は必ず取るって事で、晶/復讐で。
GM:では、次のシーンへ行きます。

▼絆/エゴの変化
亮司:霊刀へのエゴを絆に変化。関係は好奇心。双真への絆を取得。関係は連帯感。
勇司:晶にエゴを取得。関係は復讐。



●シーン12 『想い出は既に遠く』 マスターシーン  PCは登場不可

○廃屋


 暗い部屋の中、座り込む当摩と、傍らに寄り添う双子。
 当摩は床に寝かせた明日香を、静かに見つめている。

「…にぃちゃ、そーまと…たたかうの?」「あたし……やだ」

 明らかに気が進まない様子の双子に、当摩は力なく目を伏せた。

「…………ごめんな、二人とも」

 そう言って、彼は弟妹の頭を撫でる。

「判ってるんだよ…頭では。あいつは、俺を救けてくれたんだって」

 脳裏に浮かぶのは、三年前の緋い記憶。

「だけど俺は……怖かった。目の前で親父たちを殺した化け物に、俺は何も出来なくて…。
 駆けつけた双真が、その化け物を殺して…自分も傷だらけになって、俺を救けた。
 判ってるんだ、それなのに……俺は、化け物よりも…“それを殺した双真の方を”怖いと思ったんだ」

 双子もそれは知っていた。その感情があればこそ、二人は当摩を主に選んだのだから。

「…ごめんね」「そーたたちが、にぃちゃに会ったから…?」

 それは、双子が生まれて初めて抱いた『後悔』。
 彼ら自身に『魔物への憎悪』はない。霊刀は、あくまで『使い手の抱く憎悪』を引き出し、力に変えるのみ。
 二人は、ただ己が作られた目的…『魔を絶つ刃』としての本能エゴに従って在り続けた。

 そのことが、彼らと愛する主を苦しめていると気づいた今も…二人にはどうすればいいか、判らなかった。
 無垢なるものたちは、ずっと無知なまま過ごしてきたのだ。

「……お前たちのせいじゃないさ。俺、感謝してる…お前たちのおかげで、俺は独りじゃなくなったから」

 当摩は外に気配を感じ、立ち上がった。

「けど……もうそろそろ、ケリをつけなきゃいけないのかもな。…想い出に」

 茜と颯太の姿がぼやけ…二振りの霊刀に変じる。
 漆黒の刃を手にし、当摩は呟く。
 その姿を、『今の自分がもっとも怖れ、憎む相手』の姿に変えながら。

「…来いよ、双真。早く来てくれ…」

 ここに来て、壊れてしまった俺を――――殺してくれ。

 その姿は、双真ではなく…血の涙を流す当摩自身の姿だった――――。




GM:これにてシーン終了。クライマックスフェイズに移ります。




目次へ戻る 次のページへ